【男の生き方、人生の楽しみ方】第2回〜メイガスさん(マジシャン、イリュージョリニスト)
新型コロナウイルス感染症が再拡大するなか、この年末も厳しい事態が想定されている。 だが、そんな時期だからこそ、今までの自分を冷静に振り返り、未来志向でこれからの人生
の「再始動」を考えたい。 そこで、「男の生き方、人生の楽しみ方」をテーマにした連載の第2回はマジシャンでイリュージョリニストのメイガスさんにご登場いただく。世界的なマジシャン、イリュージョリニリストとして活躍するメイガスさんだが、その半生はまさに「男の再始動」というコンセプトにふさわしい人物だからだ。
20歳のころからマジシャンとして華々しい活躍をしていたが、28歳で廃業。その後ギリギリの生活に追い込まれたが、44歳で再チャレンジ。2018年には「JAPANCUP2018マジシャン・オブ・ザ・イヤー」の「日本奇術協会特別賞」や世界のマジック界で最も権威のある賞のひとつ「マリーンアワード2018」を受賞した。2018、2019年には2年連続で紅白歌合戦にも出演し、見事な復活を遂げている。そんなメイガスさんに、東京・六本木の事務所でインタビューした。
- 幼稚園児の頃からの夢、マジシャン
- 28歳で廃業、プログラマーで生計
- 挫折を糧に常に前を向く
- 必要とされる自分になるしかない
- マジシャンの地位向上目指す
- すべて自己責任、不屈のチャレンジ続ける
- 厳しい人生に耐え抜く強さを
幼稚園児の頃からの夢、マジシャン
まず、いつ頃からマジシャンを目指したのかを尋ねた。
「そうですね、どうやら僕は幼稚園児の頃からマジシャンになりたいと言っていたそうで、小学校3、4年の頃にはハンカチからインコを出すようなマジックを友達に披露していました。でも、中学、高校時代まではプロになるという意識はなかったですね」
本格的にこの道に進もうと決意したのは「東京のマジックディーラー(ショップ)に出入りしながらお店でアルバイトを始めた頃」という。
「オーストラリアの建国200年の記念イベントで2000人の観客を前にマジックを披露するチャンスに恵まれたんです。その後、美大に進学しましたが、年に2~3回、マジックの本場ラスベガスへ行って生のマジックショーを観るようになり、プロへの意識を高めました」
北海道函館市で父親は税理士というマジックとは縁のない家庭で生まれたメイガスさん、本来であれば手堅いサラリーマンになっても不思議ではないが、結果的には「幼稚園の頃の夢」をかなえたわけだ。
ところが、若くしてプロマジシャンとして活躍を始めたメイガスさんは、日本のマジック業界のしきたりを知らなかった。
「日本ではマジシャンになるために誰かに弟子入りし、修行を積み、先輩に引き立ててもらいながら実力を付けて上がっていくのが流儀なんですよ。けれど、それを僕は知らなかった。それに、日本のマジック業界の常識と言えば、1回30分、ワゴン車1台分の機材でコンパクトにできるものだったんですが、僕は自前のハーレーを使う大きな規模のマジック、イリュージョンで観客を沸かせるショーをしたんです」
若さゆえの猪突猛進だった。たしかに、世の中の恐さを知らないがゆえに、無邪気に突っ走るのはよくあることだ。だが、それを後悔はしていない。その時の経験が、「今の自分につながっている」とポジティブに捉えている。
28歳で廃業、プログラマーで生計
そんなメイガスさんに試練が訪れる。バブルが弾け、失意のもと28歳で廃業。34歳で社員として芸能プロダクションに入るまでの6年間、メイガスさんは「プログラマーをして食いつないだ」と言う。その技能は独学で覚えたそうだ。
手先が器用なのか、覚えが早いのか、メイガスさんは「実は、その後入った芸能プロダクションでもチラシやポスター、ウェブサイト制作まで何でもこなしたんですよ」と笑う。
転機となったのは2社目の芸能プロダクション時代だった。「マジックができるアイドルを育成してほしい」と依頼され、預けられた女の子たちを徹底的に仕込んだのだ。
「マジックを教えるだけでなく、アイドルの舞台監督としてショーの音楽から演出まですべてこなしました。」と、ここでも持ち前の馬力で全力投球する。
そんな時期に生まれたもののひとつが、今やメイガスさんの定番中の定番となっているワインボトルマジックだ。これはもともと彼女たちのために作ったマジックなのだが、その仕掛けを作ってくれる工場を自ら探し、断られてもめげずにアプローチを続け、協力してくれる工場を見つけ出した。
まさに「諦めない精神力」で突っ走るのだが、メイガスさん言わせれば、それは「自分にとっては至極当然のことで、特別なことではないんです」と。
挫折を糧に常に前を向く
マジックからウェブプログラマー、舞台監督と何でもこなせたのは天与のものもあるが、再起して、ここまで成功した理由はそれだけではなさそうだ。
「自分でやらざるを得なかったから」と言うように、常に自分がやるべきことをストイックにこなすメイガスさんに事務所の社長が「もう一度マジックを自身でやってみないか」と声をかけてきた。
最初は、いわゆるオーソドックスなマジックをやってみた。だが受けなかった。それならばと新しいマジックのスタイルに挑戦し、研究を重ねていった。
全体のインタビューに登場していただいた佐藤秀光さんもそうだが、「再始動」する男たちは常にポジティブだ。常に前を向き、挫折を糧にする。そもそも、一度や二度の失敗は挫折とも思わない。
これはある意味、男の理想的な生き方だが、なかなかできることではないようにも思える。だが佐藤秀光さんは50歳から、メイガスさんは44歳から再始動しているのだ。コロナ禍で試練を迎えているミドル世代も多いと思うが、再起に年齢は関係ないということを2人は証明してくれている。
必要とされる自分になるしかない
インタビューの中で印象的だったのは「要(い)る自分になっていくしかない」という言葉だ。周りからどれだけ信用され、必要とされる自分になるか、ということだろう。
これに関連して、メイガスさんは故郷・函館の病院でマジックを披露した時のことを話してくれた。
「予算が厳しくてね。スタッフのギャラも含めて単体で実施するのは難しかったので他のマジックショーとセットにして現地に入りしてコストを抑えたんです」
「学生時代も、マジックショーを手伝ってもらう友達にお金を払えないので、おふくろのご飯をご馳走して手伝ってもらっていました。ウチのおふくろのご飯、おいしいんですよ(笑)」
メイガスさんの熱意と信用が、損得勘定抜きに多くの人を動かしたのだ。
マジシャンの地位向上目指す
いまや世界的なポジションを確立したメイガスさんだが、走る速度はゆるまない。常に発展途上という意識で日々研鑽を続けるのがメイガス流の生き方だ。
「この国ではマジシャンのポジションは今でも決して高くないんです、自分も紅白に出たり、それなりの露出を重ねていますけど、素顔で外を歩いて気づいてくれる人は決して多くはない。芸能界で言えば、役者、コメディアン、ミュージシャンに比べれば、まだまだなんですね。だから、ドラマでも歌でもオファーが来れば何でもやりたいと思っています」
前例のないことにチャレンジして羨ましがられる存在になることで、若い人たちに「いつかあいつを追い越してやる」と思わせたいと言う。
すべて自己責任、不屈のチャレンジ続ける
メイガスさんにゴールは無い。常に自分を俯瞰し、その視線の先にマジック業界の発展、ひいては社会全体がある。そんなメイガスさんにDANTES読者へのメッセージをお願いすると「自己責任」という言葉が出てきた。「今は自分の外に理由を求めすぎる」。しかし、目的を達成できない理由を他人にせいにしない、そのための物差しを持つ必要がある、というのだ。
たしかに、うまくいかないことを社会や政治、会社、他人に転嫁する人は多い。だが、原因はすべて自分自身の中にある。まずはゴールを目指してやり切ること。不屈のチャレンジを続けることだ。
厳しい人生に耐え抜く強さを
パラダイムシフトの時代、メイガスさんは「今の50代、60代が働いてきた環境は否定されがちだが、逆にその中でやってきたことは尊敬に値する」と言う。多くの人たちが会社のために滅私奉公で働いてきたからこそ今があるというのだ。
そのうえでメイガスさんはおもむろに自身のスマホの裏側を見せてくれた。
そこには、
DO NOT PRAY for an easy life pray for the strength to endure a difficult one
(楽な人生を願うな。厳しい人生に耐え抜く強さを願え)
というブルース・リーの名言が貼られていた。
人は安易に走り、うまくいかない理由を他に求めがちだが、現状に満足することなく、あえて厳しい環境に身を置くことでさらに高いゴールを目指すことができる。
それが、DANTES読者に贈るメイガスさんからのメッセージだ。
この記事のライター
大澤尚宏
リクルートを経て広告プロデューサーとして活動。1995年にバリアフリーライフ情報誌を創刊。2008年にミドル&シニア世代を対象にした「オヤノコトエキスポ」を開催し、2009年に株式会社オヤノコトネット(https://www.oyanokoto.net/)を設立。夕刊フジで毎週木曜日にコラム「人生100年時代 これから、どうする」を連載中。2020年から「日本を元気にする」をテーマに執筆やイベントコーディネート等も始めている。
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