使えば使うほど味わいが増す「男の小型財布」

2022/10/19

男の身だしなみ20220610

諸兄は財布をすられたことがあるだろうか。私は1度だけだがパリで、現地が初めてのポン友からスリが多いからと現金を預かり、後ろポケットに入れた2つ折り財布を地下鉄の中でもののみごとにやられた。

また、映像作家とパリコレクション取材後に夕食を食べホテルに戻る途中に、1人の男が話しかけてきた。フランス語堪能の彼がものの5分ぐらい相手にして別れたが、しばらくしたら彼がジャケットの胸ポケットに入れていた長財布をすられているのに気づいた。おみごととしか言いようがないできごとだった。

イラストレーター・故長沢節先生はスリ対策にパンツの真後ろ内側にポケットを付けそこに現金を入れ、レストランなどで勘定前にトイレに行って取り出していた。前ポケットの小型財布には、すられたり言いがかりをつけられて取られてもいい程度の小銭を入れていた。さすがパリ通の生活の知恵だと思った。

女性は買い物でなく美術館や芝居などに行くときのバッグに、140ミリリットルしか入らない保冷マグ、70グラムの折り畳み傘、2つ折りや3つ折りの小型財布を入れている。小さくかつ軽量な収納の知恵だ。

私もパンツの前ポケットに入る小型財布のいいものがないかと、各種バッグや小物を製造しているポーム(www.e-mono.co.jp)のホームページを見ていたらあった!

写真右は「INDEN/COMPLEX×TEMPESTI(テンペスティ)」ブランドのスマート財布。2つ折りで、小銭入れと2つ折りにして入れるお札入れ、カードポケットが3つ付いている。

鹿革に描いた柄を漆で仕上げた日本伝統の印伝革と、イタリアの皮革産業の盛んなトスカーナのテンペスティ社が植物性タンニンオイルでなめした牛革バケットレザーとがコラボレーションしたもの。両方とも経年変化が楽しめる革なので使い込むほどに味わい深くなる。105×85×10ミリ、41グラムで税込1万4300円。

同左は3つ折り財布で「Pacca Pacca」ブランドのアラベスクシリーズ。小銭入れとカードポケット2つ、お札入れがある。95×75×35ミリ、61グラムで税込9350円、上質な牛革にイスラム教のモスクの壁面装飾にある幾何学模様が型押しされている。

その日に必要なお金とカードを入れ身軽に街歩きを楽しんだり、病院通いに最適な小型財布だ。

■執行雅臣(しぎょう・つねおみ)

ファッションジャーナリスト。福岡県出身。中央大学卒業後、文化出版局入社。『装苑』『ハイファッション』『MR・ハイファッション』などの編集長を経てフリーに。毎日の街歩き情報をブログameblo.jp/3819tune1224/)でつづっている。










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