【全文掲載】男性の健康と幸福を語り合う「男塾」第5回《ビタミンDと男性ホルモン》#02
堀江:満尾先生、Yahooニュースに今週出ていましたよね。ビタミンDで取り上げられて。今のようなお話だと思いますが。こうやってエビデンスがあるビタミンDを日本のメディアが報じないというのは本当にこの不思議なことですね。
満尾:例えば、ビタミンDがものすごく高額なサプリメントだと、例えばNMMみたいに1ボトル何十万円します、だとメディアが面白がって伝えるかもしれないですが、とってもお安いものです。
堀江:いくらぐらいするのですか
満尾:ピンからキリとは言われていますが、十分量取ったとしても月に500円かければ十分
堀江:月に500円ですね。1日じゃなくて。
満尾:はい。いろいろな製品がもちろんあるわけですけど、そのくらいでも十分、量は補える価格帯です。
堀江:私自身もコロナ予防で飲んでいますけど、やっぱりそのエビデンスって何かって医学的に難しい議論はありますけども、これから来るかもしれないインフルエンザも含めてウイルスの感染症、あるいは呼吸器の感染症にビタミンDが有効というのは、かなりしっかりしたエビデンスだと思いますが、西沢さんその辺どうでしょう。
西沢:はい。メディアの一員として決して実は報道していないわけじゃなくて、日経の電子版、日経新聞の方でビタミンDと入れていただけると恐らく2つヒットしてくると思います。1つは8月くらいに出していますけど、これは堀江先生がおっしゃったビタミンDをちゃんと摂取させる群と偽物を摂取させた群、つまりRCPですね。
これは20~30くらい解析して、やはり特にビタミンD値が低い人たちで、ちゃんとビタミンサプリを摂ったら急性気道肝炎のリスクが減りましたという、システマテックレビューというBMJというイギリス医学会誌を実は8月頃の記事に載せました。
つい最近、やはりもう一度ビタミンとかミネラルとかと免疫の関係を見直そうという記事を2週間くらい前に日経の電子版に上げていますけど、そこには先ほど満尾先生がお示しされた、約19万人で調べてやはりビタミンD濃度が低い人たちの方がリスクが高かったこのデータも一応載せましたが、なかなか他のメディアがついてきてくれない。
満尾先生がお示しした、あのクロスワンのエビデンスが出たちょうど同じ頃だと思いますけど、JAMAのネット上のオープンのデータで人数は500人ぐらいですけど、1年ぐらい前にビタミンDの濃度を測っておいた人たち。 この人たちで、ちゃんと陽性になっている人たちのリスクを分析した論文がでていますが、これは面白いと思ったのは、高血圧とか鬱とか肥満とか、いわゆる先程満尾先生がおっしゃったリスク因子、こういった因子よりもビタミンD不足の方が大きなリスク因子だというデータがでていたのです。でもこれは、まだ私たちも報道してないし、どこのメディアでも報道してないのは何故だろうっていう。
堀江:今のお話を分かりやすく説明すると、JAMAっていうのはアメリカの医師会雑誌です。世界でも、ものすごく権威が高い医学雑誌ですけども、その中で元々去年のビタミンDの濃度を、どこかで測った人たちがいて、その高い人低い人を比べてみたら、ビタミンDが低い人の方がコロナになりやすかったと。コロナにかかりやすかったということですね。
西沢:それがリスクと言われている、肥満である人とか鬱である人とか高血圧とか並べて解析していますけど、やはりビタミンDが低い人がリスクじゃないかと言われている
堀江:なるほど。いわゆる第一波の時、基礎疾患という背景に満尾先生、やはりビタミンDがあるということですかね。
満尾:それは大いに言えるんじゃないですかね。
堀江:これからもお話があると思うのですが、ビタミンというと普通アリナミンAとか、ビタミンCとか、何となく手軽に摂れるものですが、Dというと、ちょっと違いますよね。
今まで特殊なご病気の人じゃないとあまり日常的に摂るという習慣、日本では無かったかもしれないですが。
満尾:無かったかもしれないですね。日に当たればビタミンD摂れるから、良いじゃないのという流れだったと思います。
堀江:NHKでもちょっと前まで日に当たりましょうと、少し言っていました。日に当たってビタミンDを摂りましょうとか。ただ、特にご高齢の方は、そもそも家から出ない人もいるので、日の当たりようがないと思います。先生「ビタミンDとは何か」からお話いただけますか。
満尾:では、後半のお話を進めさせていただきます。今日、ビタミンDについて初めて聞く人もいらっしゃると思いますけど、ビタミンというと、軽いものというか補酵素という意味ですね。
補酵素というのは、体の中の代謝の「酵素」=エンザイムを助ける助っ人みたいな、そういう響きがありますけども、実はビタミンDはビタミンというには全然性質が違う物です。
実はビタミンDは、コレステロールから作られるステロイドホルモンの一種、ともいえるもので、ホルモンの仲間です。
ホルモンと言うと日本人には怖がる人もいますがそうではなくて、今日後でお話しする男性ホルモンもステロイドホルモンの一つですけど、ホルモンと同等の働きをしている、非常に大事なものであるということを、まずご理解してください。
ちょっと難しいかもしれないですけど、これがさっき堀江先生ともお話ししていて、私も医学部の学生時代このビタミンDはややこしくて難しいなと、試験であんまりいい成績取れなかったところじゃないかなと。
なかなかお医者さんでも、この「代謝図」と言いますが、100%書ける人は多分なかなかいないのではないかと思います。
コレステロールを原料とするプロビタミンというものが作られます。 皮膚で紫外線を浴びるとプレビタミンというものができて、 体温でビタミンD3というものに変わる。 ですから、お日様に当たって日光浴すれば、ビタミンDは出でき来るよ、と我々昔は子供の頃、夏に海水浴に行って真っ黒に日焼けすれば冬に風邪ひかないものだと、親から言われたことを覚えていますが、まさにそういう世界ですね。
ただ、今はか紫外線が皮膚癌が良くないとか、いろいろ言われて外に出ない。 子供が今、外で遊べない時代でもあります。そうするとビタミンDはどこから補給するかと言うと、お魚を食べるかサプリメントを摂るしかないですね。 ですから、日に当たるか魚を食べるかサプリメント。この3つと覚えてください。「キノコはいけないの?」と思う方、後でご説明しますのでちょっとお待ちください。
食べたビタミンDは肝臓で代謝されて、カルシフェジオールと言いますが25(OH)D3という成分に変わります。 血液中の濃度と先ほどお話したのは、これを調べています。25(OH)D3。 実はこの25(OH)D3というのは、ビタミンDの直接的な働きはまだしていないですね。 まだカプセルに入った薬剤みたいなもので、この25(OH)D3を酵素が「活性化」と言いますが、カルシトリオールという物に変えて初めてビタミンDとしての働きが生まれます。 ちょっとややこしいですけど、今日これからお話するビタミンD濃度というのはこの25(OH)D3のことだということを、ご理解ください。
ビタミンDの一般的な働きは、骨を作る大事なビタミン。これはほとんどの方、小学生でも知っていると思いますが、あと、カルシウム代謝の非常に立役者で大事な働きをしている。
どんなにカルシウムを食事で摂っても、ビタミンDが足りないとカルシウムは吸収ができません。 この1行目「骨・Ca代謝の正常化」は、一般の方もかなり情報をお持ちではないかと思いますけど、ここから先ですね。 なかなか専門家でも、知らない方がいらっしゃると思いますけど、癌の予防。今話題の感染症の予防になる。
さらには、リウマチとかMS多発性硬化症という厄介な自己免疫疾患などがありますけど、そういう病気の予防になるのではないか、ひいては生活習慣病、動脈硬化、心臓疾患の予防にもなるとか、糖尿病の予防にもなる。 あと、鬱ですね。今いろいろな意味で自殺率が増えて深刻な問題ですけど、特に秋口、日照時間が短くなると、枯葉を見ると鬱っぽくなるというのは、誰でもそうかもしれないですが、その裏には、ビタミンDの減少があるのではないかというのが、先ほどのマイケル・フォーリック先生らが昔唱えた説です。
さらには、認知症の予防、また筋力の低下予防だけではなく、アスリートのパフォーマンスを上げる。そういう目的でビタミンDを摂取すべきだと。これは実際、アメリカのあるプロフットボールチームがビタミンDを摂取して非常に好成績を上げたという有名な話もありますが、ビタミンDはいろいろ、ありとあらゆるところに働いている。 これは単なるビタミンではなく、ホルモンであるということですね。当院はアンチエイジングクリニックですけど、様々な死亡率が下がるということで、患者さんの血中濃度を調べてビタミンD接種をお勧めしています。
こちらが度々でてきましたマイケル・ホーリック先生です。皮膚でビタミンDが作られることをレポートして、非常に貴重な研究をされている先生です。
彼が19万人のデータを集めて、新型コロナウイルス感染率とビタミンDの関係を明らかにしたのです。この彼が現代人にはどうもビタミンDが不足しているようだとレビューしました。これはなんと2007年にThe New England Journal of Medicineという有名な、医者の間では一番権威ある雑誌にレビュー(総論)しました。科学的な議論というのは、正しい、間違い、そうじゃない、そうだ、という議論があり、10年くらいして定説になりますが、ちょうど落ち着いて定説になりかける頃にレビューが書かれます。
ですから、2007年にレビューが出るということは、大体2000年前後には現代人にはビタミンDが足りない、そのリスクというものが非常に多く研究されていまして、欧米ではもうほぼ当たり前のこととして認識されている。
以上
#03に続く
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