私は月に1回両国駅から10分ほどの日下部理容店(写真)へ調髪に行っている。戦後まもなくに建てられ室内のしつらえも当時のまま、今流行の昭和レトロで映画やテレビのロケに使われている。椅子の上でシャンプーされタイル張りの洗面台で頭を下げての洗髪は子供のころと変わらない。

蒸しタオルで顔を温められるのが気持ちよくて寝てしまうこともあり、その後の顔剃りが実に気持ちよく男に生まれてよかったと思う瞬間だ。剃刀(カミソリ)という刃物を扱うので、顔剃りは理容師免許がないとできない。

理容師法では「頭髪の刈り込み、顔剃り等の方法により容姿を整えることを言う」とあり、美容師法では「美容とはパーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により容姿を整えることを言う」とある。美容師は「化粧に付随した軽い程度の顔剃りはできるが、それを越えた場合は理容に該当するので違法」とあり顔剃りを主としたサービスはできない!

顔を剃ると肌がツヤツヤとなるので、美容に関心が高い女性が理容店に顔剃りにやってくる。顔剃りをすると産毛や皮膚のいちばん外側にある角質を同時に取りのぞき肌がツヤツヤとなり、化粧水や美容液などが肌に浸透しやすくなる。また肌がきめ細やかになってメークのノリがよくなり、化粧崩れがしにくくなるといいことばかり。

皮膚は28日周期で古い角質が生まれ変わり(美容用語でターンオーバー)肌の新鮮さを保つ新陳代謝が行われる。顔剃りをすることで肌のくすみが取れた明るい顔になる。顔剃りはひんぱんにすると肌を守る角質まで落とすから月に1回が理想的といわれている。

女性の顔剃りは自分でやるのはむずかしいので理容店に行くしかないが、美容室へ通っている女性にはハードルが高い。そこで奥さんや彼女を理容店に誘ってはいかがだろうか。いっしょに行けばハードルをクリア、そして顔剃りで一皮剥け美しくなった奥さんや彼女の喜ぶ顔が見られるが、顔剃り後はスッピンになるからそれがイヤだと思うので化粧道具持参をとひとこと。奥さんや彼女の顔剃りを先にしてもらって、自分が調髪をしている間に化粧直しをするようにとアドバイスを。

（執行雅臣）