独身女性の胸に刺さる「いつ生むの?」の言葉
都道府県間の移動制限がなかった今年のお正月には、久しぶりに実家に帰ったという方も多いでしょう。私は親族が多く、15人が集結してすっかりお酒が進みました。
こうした席で私のような30代の女性がよくふられる話題が、「いつ産むの?」という話。今回も何人かの親族から聞かれました。年々、老いていく両親から見れば「一刻も早く孫の顔が見たい」「自分の体が動けるうちに、子育ての助けになりたい」という気持ちはよくわかります。
ですが、言われる方もつらいのです。
世間では晩婚化、少子化がいわれますが、それでも30代に突入すると同級生や知人たちから続々と出産報告が年始メールとともに届きます。SNS上で赤ちゃんを抱く姿を披露する方も多くいます。昔のように、プレッシャーをかけてくるのは親類や近所の方だけではないのです。
1980年代後半のバブル期以降、DINKs(ディンクス)という言葉が日本にも広がり。子供を持たない共働きも含めた多様な価値観が定着したかに見えました。それでも、子供がほしくても恵まれない人の悩みなどは、かき消されがちです。芸能人の高齢出産がスマホの明るいニュースとして広まる一方で、不妊治療の保険適用などの取り組みはようやく始まったばかり。
私自身、生理不順になったこともないのに、レディースドックに行ってみたら「AMH(卵巣年齢)の数値がよくないから早めに産むか受精卵凍結をおすすめします」と言われました。20代で不妊や受精しづらい女性は少なくないといいます。
多様な価値観を認めること、だれもが子供を産めるわけではないことを視野に入れて、なるべく出産や子育てについて温かい目で見守る社会であってほしいと願っています。せっかく、実家に行ける状況になったのに、「そういう話題になるのがイヤで、里帰りがおっくう」という同世代の女性が周囲にはいます。一番大切なのは本人が元気に生きることですよね。
この記事のライター
工藤 まおり
フリーランスライター。津田塾大学数学科卒。大手人材会社を経て、セクシュアルウェルネスメーカー、TENGAの広報に転職。女性向けセルフプレジャー・アイテムブランドirohaのPRなどに携わった後、この春フリーランスに。PR業務、恋愛・性・キャリアに関するコラムを執筆。
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