不妊治療の保険適用範囲拡大でも課題は山積
4月から、不妊治療の保険適用の範囲が拡大されました。それにより、「体外受精」「人工授精」「顕微授精」などの治療が原則3割負担で受けられるようになります。30歳の私にとって他人事ではありません。同世代の友人たちはすでに産んでいたり、計画を立てたりしていて、この件は話題になりました。
なにせ、「体外受精」にかかる費用は1回あたり平均約50万円。かなり高額ですよね。そして、体外受精は1回で成功するとは限らないので、できるまで何度も何度も、支払う必要があります。失敗するたびに、体と心、そして財布もどんどんすり減っていく。そのたびに上司や同僚の理解を得ながら仕事を休まなければならず、経験者の多くは不妊治療を、「つらかった」と振り返ります。
「何が一番つらかったですか?」と聞くと「全部です」と答える方がほとんど。その中でもせめて「お金」の部分だけでも楽になるのであれば、子作りにかかる苦労が少しは軽減されるのではないかと思います。
残る不妊治療の悩みは「身体的な負担」と「仕事との両立」です。体的な負担は年齢という医学的な壁もあり、現状では自分たちにはどうすることもできません。次の少子化対策としては、「仕事の両立」がもう少ししやすくなる制度改革が必要かもしれません。
不妊治療経験者に話を聞くと、不妊治療を行っている人を応援してくれる会社であっても、急に仕事を休まなければならない時があることや、体の負担がどれくらいかかるのかなど細かい部分まで把握してサポートしている企業はあまり存在しないと言います。
今回の不妊治療の適用範囲拡大をキッカケに、不妊治療を受ける人が増えることを期待しています。そして、会社などで「不妊治療」についての研修を実施するなど、社員への理解が進んでほしいと思います。とくに経営者や管理職の方には、ぜひ知っていただきたいです。少子化の歯止めは、企業や日本の未来にも直結するのですから。
この記事のライター
工藤 まおり
フリーランスライター。津田塾大学数学科卒。大手人材会社を経て、セクシュアルウェルネスメーカー、TENGAの広報に転職。女性向けセルフプレジャー・アイテムブランドirohaのPRなどに携わった後、この春フリーランスに。PR業務、恋愛・性・キャリアに関するコラムを執筆。
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