男性更年期障害から免疫、不妊、風邪や傷にまで効果ある亜鉛

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牡蠣はお好きですか? 日本では縄文時代ごろから食用にされていたとされ、ハマグリに次いで多く食べられていたと言われています。生でそのまま食べても、焼いても揚げてもおいしく、また「海のミルク」といわれるほど栄養たっぷりです。

特に亜鉛が豊富です。例えば成人男性の亜鉛推奨摂取量は1日10ミリグラムですが、これは牡蠣4個(80グラム)で達成できます。ほかの肉や魚介類は概ね100グラムあたり4ミリグラムほどの含有量ですから、牡蠣は亜鉛を摂取するのに非常に適した食材と言えます。

亜鉛はからだの成長、免疫、傷の治癒過程に働きます。欠乏すると傷の治りが悪くなる、加齢に関連する肺炎や眼の黄斑変性症にもなりやすくなる、といわれています。

風邪にかかっても亜鉛量が十分だと早く治ります。やけどや潰瘍あるいは皮膚の損傷にも亜鉛を含んだ薬剤が使用されます。コラーゲンを摂取すると肌がプルプルになるイメージがありますが、亜鉛がないとコラーゲンの産生ができないので、コラーゲン食品だけとっても体内で分解されて皮膚はプルプルになりません。亜鉛は酸化ストレスも減らし、組織の老化を防ぎます。

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亜鉛が足りないと慢性的な下痢、薄毛、乾燥肌、うつなどの気分障害、不妊症などの原因になります。コロナの流行で味覚障害が注目されましたが、亜鉛は味を感じる味蕾細胞をつくるのに欠かせないため、亜鉛不足でも味覚障害になります。

さらに亜鉛はテストステロン濃度にも関係しています。亜鉛不足はテストステロン濃度の低下につながり、LOH症候群の原因となります。一方、亜鉛のサプリメントの摂取はテストステロン濃度を高くします。亜鉛は精液にも高い濃度で含まれており、精液量にも関係します。男性不妊症の人は亜鉛濃度が低い傾向があり、亜鉛の補充療法で精液量、精子の運動率、正常形態の精子数が増えます。

しかしながら、排出されにくいミネラルは過度にとりすぎるのもよくなく、亜鉛製剤の過剰摂取は悪心(吐き気)などの消化器症状や貧血を生じるため注意が必要です。バランスよく摂取して健康的な生活を心がけましょう。

【一般社団法人1UP学会】

男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp/)で実施している。


【堀江メソッド】

多くの亜鉛サプリメントは1日10〜20ミリグラムの摂取を勧めていますが、私は臨床経験から亜鉛欠乏症の人は1日50ミリグラムほど服用しないと血液中の亜鉛濃度が上がってこない印象を持っています。亜鉛欠乏かどうかは血液検査で簡単に調べることができますので、興味のある人は医療機関を受診してください。詳しくは『LOH症候群』(角川新書)をご覧ください。

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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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