女性ホルモン「エストロゲン」の高い男性ってどんな人?

堀江メソッド2022年9月6日

女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンは、男性もしっかり分泌されています。このエストロゲンの値が高い人は「バランス志向」です。

テストステロンというホルモンは「目的志向」で、いわゆる「矢印の向いた方に向かっていく」イメージですが、このバランス志向は、「面積を押し広げていく」イメージ。エストロゲンが高い人は自分の目の前にあることは、別に「やる気」なんてなくても、意外とやれてしまうのです。

そもそもエストロゲンというのは、「人のために何かをしてあげよう」という気にさせるホルモンです。一方、テストステロンが多い男性は、誰かのために手取り足取りしてあげるということはしません。

女性の生活を想像してもらえばわかりやすいですが、女性の日常というのは忙しいですね。朝ごはんを作るとか、掃除するとか、子供の世話をするとか、そんなことにいちいち「やる気」なんて出していたら仕事はできません。基本的に多機能なのです。そしてこのエストロゲンが多い人は、テストステロンの多い人よりもはるかに、「目の前の環境」から影響を受けます。気付いたところからパッパと仕事をこなしていく人がそうです。

だから比較的、「何かを続ける、習慣化させる」ということには苦労しません。ただ、この場合はやる気よりも環境で動くので、「部屋が汚れていれば掃除する」のように、やるべきことをメモに書き出すとか、友達同士で同じことをやり始めるとか、視覚に訴えたり、周囲の環境がそう仕向けるように工夫すると効果的かもしれません。

テストステロンとエストロゲンのどちらがより働いているかを見分ける一番簡単な目安は「言語能力」です。テストステロンが多い人の場合、言葉数が少ない傾向があります。古典的に言えば「メシ、風呂、寝る」です。昨今の携帯電話のメール機能は、どちらかというと言語のほうに近いですから「メールの文字量が少ない、文面が簡潔な人」もそうでしょうね。

逆に、おしゃべり上手の人はエストロゲンが効いています。中学生くらいになった男の子には、思春期に男性ホルモンの分泌がバッと跳ね上がる時期があります。それまではお母さんに「学校で○○君が先生に怒られて…」なんて話していたのが、途端に家での口数が少なくなる。これがテストステロンの機能の象徴的な働きといえます。

もちろん、ホルモンの分泌量は同じ人でも変わります。テストステロンの値が高いときもあれば、エストロゲンが多く分泌されているときもあるのです。今日はテストステロン型か、エストロゲン型かチェックしてみてください。


【一般社団法人1UP学会】 男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。

【堀江メソッド】

女性は閉経後、エストロゲンがほとんどなくなり、男性のエストロゲンよりもだいぶ少なくなります。そして、むしろテストステロンに影響されるようになります。更年期が終わった女性たちが、男子高校生のように仲間でつるんで旅行や食事に出かけるのはそのためです。男性でテストステロンもエストロゲンも両方高い典型が田中角栄さん。角栄さんは鍋奉行で仕切ることが多かったと言います。「コンピューター付きブルドーザー」と呼ばれた、目的へまい進する力と、世話好きなところが、魅力ある政治家として今も人気が高い理由でしょう。




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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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