テストステロン補充療法で心身に活力を!「費用」「副作用」など気になるポイントも解説

テストステロン補充療法で心身に活力を!「費用」「副作用」など気になるポイント

「やる気ホルモン」「社会性のホルモン」とも呼ばれ、働き盛りの男性にとっては何かと気になるのがテストステロンです。テストステロンは加齢とともに減っていくため、分泌に効果的な食品の摂取や、ライフスタイルの改善法が数多く紹介されています。

それぞれに効果的な方法ではありますが、確実にテストステロンを増やしたい場合は、補充療法に勝る方法はありません。しかし、補充療法を試してはみたいけど、ハードルが高そうで踏み出しにくいと感じている人も少なくないでしょう。

そこで本記事では、テストステロン補充療法について詳しく紹介します。補充の方法や効果についてはもちろん、費用面や副作用など気になる部分についても取り上げていきます。補充療法に定評のある病院・クリニックも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

テストステロンの補充療法に至るまで

20代をピークに、緩やかに減少していくのがテストステロンの特徴です。自然に減っていくものをわざわざ補充する必要があるのかどうか、不思議に思われるかもしれません。まずは、テストステロンを補充する仕組みについて説明しましょう。

テストステロン急減は男性更年期障害の原因に

テストステロンの大幅な減少は、男性更年期障害(LOH症候群)の原因となります。女性の更年期症状の場合は、女性ホルモンが急激に減少する閉経前後の期間に起こります

しかし、男性の場合はテストステロンの減り方に個人差があるため、いつ発症するか特定するのは難しいと言われています。そして、更年期障害がどの程度続くかもわかりません。

テストステロン値が低い状態が長く続けば、それだけ更年期障害に苦しむ可能性もあります。そこで、テストステロンの補充療法という選択肢が浮上してくるのです。

テストステロン(男性ホルモン)の働きと役割とは】にて詳しくテストステロンがどういう役割を果たしていて、分泌が減少するとどうなるのかをご紹介していますので、ご覧ください。

遊離テストステロン値を測定

補充療法などの治療が必要かどうか判断する際の材料となるのが、総テストステロンのうち約1~3%存在している「遊離テストステロン」の数値です。

日本泌尿器科学会などがガイドライン

日本泌尿器科学会と日本Men's Health医学会が公認する「LOH症候群診療の手引き」によると、治療が必要な場合の基準値は「血中遊離テストステロン値8.5pg/ml以下」。

測定キットが変更された現在では、基準値が若干上方修正され、12.5pg/ml以下となっています。そこから16.2pg/mlまでのゾーンでも、医師と患者が相談して治療するか決めることが推奨されています。
(参考文献:LOHguidelines.pdf (mens-health.jp)

テストステロン補充療法にはどんな方法がある?

血中遊離テストステロン値が基準値を下回った場合は「加齢性腺機能低下症」と診断され、治療の段階へと移ります。不足しているテストステロンを補充するための主な方法は、注射、皮膚吸収剤の2通りです。

テストステロン補充療法①注射

注射による補充療法の場合、エナント酸テストステロンという注射剤が使用されます。これを2~3週間に一度行いますが、テストステロン値をなるべく維持するために筋肉注射が用いられます。

注射の間隔や投与量については、テストステロンの数値をチェックしながら決めるため個人差があります。

注射のメリット・デメリット

注射のメリットは、何といっても即効性が高いことです。直接血中に届くため、爆発的な効果も期待されることから「テストステロンブースター」と呼ばれることもあります。注射の直後に更年期症状が劇的に改善するケースもあるといいます。

ただし、即効性が高いといっても、その場で自己注射というわけにはいきません。注射の際には定期的な通院が必要となります。2~3週に一度の通院を負担と感じるかどうかは人によって違いますが、ある程度の根気も必要となるでしょう。

テストステロン補充療法②皮膚吸収剤

皮膚吸収剤には、塗り薬や貼り薬があります。テストステロンは皮下の血管から吸収され、濃度がゆるやかに上昇します。塗り薬やクリームの場合は、吸収効率の高い皮膚の薄い箇所(腕の内側やお腹あたり)に塗ることが勧められています。

皮膚吸収剤のメリット・デメリット

皮膚吸収剤のメリットは、安定的にテストステロンを補充できることです。特に塗り薬の場合は、量や頻度を調整できることもあって、幅広い症状に対応することができます。

注射のような即効性は期待できませんが、自分で少量を塗布するだけですから、注射に比べると安心感もあるでしょう。テストステロンを補充するクリームやジェル剤について【テストステロンを補充するクリームやジェルについて解説!】に詳しく紹介していますので、ご覧ください。

飲み薬は一般的ではない

テストステロンを補充するための飲み薬もありますが、テストステロンは肝臓で分解されてしまうため、血中へ回る前に肝臓に負担がかかってしまいます。そのため、補充療法の手段としてはあまり利用されていないのが現状です。

補充療法にトライしたいけど、費用が気になる

テストステロン補充療法の概要について紹介してきました。ここからは、実際に補充療法を検討する場合に、気になるポイントについて見ていきましょう。

保険適応となるのは注射だけ

まずは費用面です。補充療法の内容についてはいくつか紹介しましたが、日本国内で保険適応となるのは「エナント酸テストステロン」を注射する場合に限られます。

そのため、病院・クリニックで血液などの各種検査や診療を受け、自分の症状が保険適応となるかを判断してもらう必要があります。保険適応(3割負担)の場合、エナント酸テストステロンの注射だけなら2000円未満という金額を表示している医療機関もあります。

海外製のクリームは濃度が違う

海外製のクリームは濃度が違う

塗り薬は保険適応外となりますが、1本数千円という医療機関も多いようです。ただし、1本ごとのサイズはもちろん、テストステロン濃度が高い海外製のクリームの場合は高額になることもあります。

注射、薬剤以外にも各種費用

テストステロンの補充療法は、測定値をモニタリングしながら行われます。注射や薬剤以外に、検査費用などもかかるでしょう。治療の現場では注射と塗り薬を併用することも多く、症状によっては漢方などの薬が処方されることもあります。テストステロン値を上昇させる作用が期待できる漢方薬を【テストステロン低下に漢方が使われる?漢方との関係性について】で紹介していますので、ご覧ください。

これらの費用をパッケージングして、1回の通院にかかる金額を示しているクリニックもあります。費用について事前に把握しておきたい場合は、医療機関のホームページをチェックするか、直接問い合わせておくことをおすすめします。

副作用など、健康面でのリスクは?

テストステロン補充療法の気になるポイント、2つ目は健康面です。治療を受けられないケースや副作用、前立腺がんとの関係についても取り上げます。

副作用には多血症や肝機能異常

テストステロン補充療法による副作用には、多血症や肝機能異常などが挙げられます。

テストステロンには造血作用があるため、投与によって赤血球が大幅に増える可能性があります。また、血液を通して体内を巡ったテストステロンの残りは肝臓で分解されるため、肝機能に影響を与えるかもしれません。

補充療法が受けられないケースとは

そのため、治療前に多血症や重度の肝機能異常を患っている人は、補充療法を受けられません。テストステロンの投与によって症状が悪化する恐れがあるからです。

また、前立腺がん患者やその疑いがある場合も補充療法ができません。前立腺がんの原因の一つに、ジヒドロテストステロン(DHT)の存在があります。

DHTはテストステロンと5αリダクターゼが結びついて生まれます。テストステロン量が増えればDHTも相対的に増えますが、テストステロン補充療法が前立腺がんの原因となる可能性は否定されています。

精子の数が少なくなるので注意

テストステロン補充療法を行っている間は、精巣が小さくなるため、精子の数が少なくなります。子どもをつくりたいと考えている男性が補充療法を行った場合、不妊治療が必要になってしまうことも考えられるため、子どもをつくろうとしている時期は補充療法を受けないように注意しましょう。

テストステロン補充療法が受けられる医療機関

近年、男性特有の疾患を対象とした「メンズヘルス医療」が受けられる外来が増えています。

泌尿器科内に設置される場合もあれば、専門外来を立ち上げる医療機関もあります。そこで、ごく一部ではありますが、メンズヘルス外来を持つ医療機関を紹介します。

Dクリニック東京 PLUS

Dクリニック東京-PLUS

独自の男性力ドックを実施しており、男性更年期障害の原因についても幅広い角度から分析。心身両面から総合的な治療が受けられます。東京駅徒歩3分の好立地で通院しやすいのも魅力です。

千葉西総合病院

千葉西総合病院

泌尿器科に男性機能外来が設けられています。経験豊富な専門医が常勤しており、テストステロンの低下に伴う男性更年期障害についても診察。テストステロンクリームによる臨床試験も行っています。

CLINIC TEN SHIBUYA

CLINIC-TEN-SHIBUYA

減少したテストステロンを補充するだけでなく、男性更年期症状に備えて早期から検査を行うことも可能です。予約に加え会計もウェブ上で行うため、通院時の待ち時間が発生しにくいシステムになっています。

  • 所在地…東京都渋谷区渋谷2丁目20−12 日永ビル 2F
  • ホームページ…https://clinicten.jp/

下井病院

下井病院

メンズブースト外来では、テストステロン補充によって心身に活力を与えることをモットーとしています。希望すれば、効率良く筋肉を発達させるための科学的トレーニング方法のアドバイスも受けることができます。

まとめ

ここまで、テストステロンの補充療法について掘り下げてきました。それでも、医療機関に足を運ぶべきか自分では判断がつかない場合もあるでしょう。そこで最後に、国際的に広く利用されている「AMSスコア」について紹介します。

「関節や筋肉の痛み」「睡眠の悩み」「不安感」など17項目の質問について、「なし(1点)」から「極めて重度(5点)」の5段階で評価します。合計点が26以下なら正常、27~36は軽度 、37~49 は中等度、50以上は重症となります。「中高年を襲う男性更年期障害チェックリストと高める術」に質問票を掲載していますので、チャレンジしてみるとよいでしょう。

テストステロンの大幅な減少は更年期障害の原因となるだけでなく、心血管や呼吸器の疾患、糖尿病などのリスクを高めることが知られています。心身の不調を加齢や忙しさのせいだと決めつけず、テストステロンの面からもチェックしてみることをおすすめします。

  • 参考文献
    ・ファルコバイオシステムズ 臨床検査事業 http://www.falco.co.jp/rinsyo/index.html
    ・Medical Note https://medicalnote.jp/
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